このページでは株式会社の設立の必要事項についてご説明します。
株式会社設立には大まかには
①設立前の下準備
②設立に必要な書類準備
③設立後の準備
の3つです。
順番にご説明します。
①設立前の下準備
会社設立をするためには事前に決めておかなければいけない項目があります。
・メンバー集め:ともに会社を設立するメンバーを集めます。以前は最低限必要な人数があり、株式会社を設立するには取締役が3人以上いなければなりませんでしたが、新会社法では1名から設立出来るようになりました。ただし、取締役会を設置する場合は取締役3名と監査役1名が必要です。
・会社名:会社の名前のことを会社法上、「商号」と呼びます。株式会社、合名会社といった会社の種類を必ず明記しなければならないなど会社法上のルールがいくつかあります。 ルールを守れば商号は自由に決めることが出来ますが、会社法で「同一住所で同じ商号は使用できない。」とありますので、ビル等を本店所在地にする場合は事前に登記する予定の商号で登録されていないかを登記簿謄本を請求して、調べておいたほうが良いでしょう。
・会社の目的:設立する会社が「どのような事業を行い、利益を生み出すのか」を決めなければいけません。
・本店の所在地:本店所在地とは設立する会社の活動拠点のことです。
・資本金:資本金とは、設立する会社の元手となる資金のことです。資本金の額は、平成18年に施行された新会社法によって1円から株式会社を設立できるようになりました。しかし、利益が出るまで数か月~1年ほどかかるので適正額としては、運用に必要な資産を確保した上で、利益が出るまで会社を運用出来る額になります。
・資金の調達:資本金を誰から調達するかを決めなければいけません。だいたいは自己資金と親・兄弟・知人からの資金になります。
・機関設計:機関とは、株主総会、取締役、取締役会、監査役、会計参与といった意思決定や業務執行の権限のある機関のことで、機関設計とはその機関の組み合わせを決めることを言います。
・決算日:決算日は自由に決めることが出来ます。しかし、決算書の作成や株主総会の開催、税務の申告を行わなければならないため、繁忙期や繁忙期前の忙しい時期に設定するのは避けた方が良いです。
・会社の印鑑を4種類用意:株式会社の設立登記の書類や定款に、会社印が必要になります。代表者印(法人実印)・銀行印・社印(角印)・ゴム印(横書き)の4種類を用意しましょう。
・印鑑証明書:印鑑証明書は、定款の認証時と登記時に必要になるため2通必要になります。
・定款の作成:定款とは会社の目的や基本ルールを書面や電子媒体にまとめたものを言います。作成が義務づけられており、登記の際に必要になります。
・定款の認証:定款を作成したら、その定款が正しく作成されたものかを第三者に照明してもらう必要があります。証明するためには公証役場で「定款の認証」が必要です。
②設立に必要な書類準備
設立費用として資本金とは別に株式会社の設立に必要な費用があります。
項目 | 金額 |
---|---|
定款に貼る収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合は不要) |
定款の認証時に公証人に払う手数料 | 5万円 |
登記手続きに必要な定款の謄本手数料 | 約2000円(250円/1ページ) |
登記手続きの際の登録免許税 | 最低15万円(厳密には資本金の額×0.7%) |
合計 | 約25万円 |
上記の費用に加え、登記するために提出しなければいけない書類があります。
書類名 | 条件 |
---|---|
登記申請書 | 必須 |
定款 | 必須 |
資本金の払込を証する書面 | 必須 |
取締役全員の印鑑証明書 | 必須 |
印鑑届出書 | 必須 |
登記すべき事項を保存したCD-R | 必須 |
資本金の口座コピー | 必須 |
本店所在地決定書 | 定款に番地まで記載しない場合必要 |
資本金の額の計上に関する証明書 | 金銭以外での出資がある場合必要 |
設立時発行株式に関する発起人の同意書 | 定款に記載がない場合必要 |
設立時取締役選任決議書 | 定款に記載がない場合必要 |
設立時監査役選任決議書 | 監査役を置き、尚且つ定款に記載がない場合必要 |
設立時取締役の就任承諾書 | 取締役が複数名いる場合必要 |
設立時代表取締役の就任承諾書 | 取締役が複数名いる場合必要 |
発起人の同意書 | 定款に本店所在地、資本金の額などがない場合必要 |
書類が完成したら、法務局で登記を行います。登記をした日が会社の設立日になります。書類や手続きに不備がなければ、提出後1週間ほどで登記が受領されます。
登記の方法
登記の方法は3種類あります。
・実際に法務局へ行って行う方法
・郵送で行う方法
・オンラインで行う方法
以上で株式会社の設立登記は完了します。しかし、実際に会社の運営を始めるにあたって、税務署や都道府県に各種届け出を出しておく必要もあります。
③設立後の準備
株式会社の設立は登記をして終わりではありません。その後に、税務署や労働基準監督署、都道府県などの各種届出を行う必要があります。下記のリストは、おおよそどの企業でも、提出しておくべき書類の一覧です。これらを提出して、初めて本格的に会社運営がスタートします。
書類名 | 詳細 |
---|---|
法人設立届出書 | 設立した会社の概要を税務署に知らせる書類。都道府県や市町村にも地方税を納めるために開業届として必要。期限は会社設立から2ヶ月以内です。 |
青色申告の承認申請書 | 青色申告をするために提出しておくべき書類。白色申告より税制上、メリットがあります。 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 役員賞与や従業員の給料を会社の費用として計上するために必ず出しておくべき書類です。 |
源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書 | 源泉徴収を毎月ではなく年2回の納付にして創業後の負担を軽くするために提出する書類 |
棚卸資産の評価方法の届出書 | 会社の在庫商品の計算方法を届け出る書類。業種によっては節税のために非常に重要。 |
減価償却資産の償却方法の届出書 | 会社の在庫商品の計算方法を届け出る書類。業種によっては節税のために非常に重要。 |
労働保険 保険関係成立届 | 従業員を雇う上で必須。労働保険に関する届出 |
労働保険 概算保険料申告書 | 同上 |
雇用保険 適用事業所設置届 | 同上 |
雇用保険 被保険者資格取得届 | 同上 |
健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 従業員を雇う上で必須。社会保険に関する届出 |
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | 同上 |
健康保険被扶養者(異動)届 | 同上 |
届出は以上になりますが、ここからが経営の本当のスタートです!!
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